1月は北山先生の講義で、目の病気に使う漢方薬をいろいろお話してもらいました。

近頃は、結膜炎なら抗生物質、白内障なら日帰り手術と、眼科にすぐ行かはるから、目の病気に漢方薬なんてあまり来ませんわなぁ‥‥

昔は白内障は白盲(シロソコヒ)、緑内障は青盲(アヲソコヒ)と言いまして、他にも結膜炎、羞明畏日(眩しい)、轆轤轉関(ロクロテンカン:やぶにらみみたい)、翳障(エイショウ:かすむ)、仮性近視、流涙症を治す漢方薬までありましたんやで。おもしろいとこでは、さかさまつげ。さすがに、さかさまつげの人が来たことないから効果あるんかわからんけどね‥‥

涙が出すぎて困る流涙症なんか、今でも西洋薬ないんと違いますか?
昔、わしらのお仲間で漢方勉強してた内科の先生の奥さん、涙目で困ってました。いつもまぶたが浮いてる感じで、涙をしょっちゅう拭くから炎症気味でしたわ。
止涙補肝湯(銀海精微)飲んでもろたら2週間で止まりました。
柴田先生が「四物湯やからな!」ゆうてましたわ。
銀海精微には、肝虚で風を迎えると涙が止まらずを治す、よろしく晴明二穴、風池二穴、臨泣二穴に灸せよ‥‥と治療穴まで書いてますわ。
止涙補肝湯に入ってる木賊というのは、トクサという植物で、春先につくしのようにのびるんです。昔は刀を磨くのに使ってました。今は残念ながら生薬としてはありませんわ。
どこぞの庭に生えてたりするけどね‥‥

目には万荊子と菊花をペアでよく使ってました。明目ゆうんはすなわち脳に働くんです。
緑内障には、今みたいにレーザー治療が無かった時代、石決明散で眼圧の痛み取りました。
石決明はあわびの殻を酢に一晩漬けて炙って粉にしたもんです。
肝経に効いて清熱明目の生薬です。
茺蔚子(ジュウイシ)は益母草の種で、これもありまへんわ。益母草で代用するか。

緑内障、白内障、網膜症、飛蚊症などに使うのに、冲和養胃湯(蘭室秘蔵)という処方があります。
昔、私と一緒に中国語を習っていた私より10歳以上年上の中国通の先生が、目の病気で中国へ行き、中医の先生に診て貰って、半年くらい漢方薬飲んでました。
物が2重に見えるんです。痩せ型で頭が良い脾胃の虚がある先生でした。
治らんから、柴田先生が、「そういう人は冲和養胃湯がええでー!」
飲んだら見事に効きました。
目の病気ゆうたって、特に内障は、内臓の問題が大きいゆうことですな。
特に緑内障は手術や点眼薬で最新の治療しても、視力が回復しない場合もあるし、飛蚊症でうっとおしくても、老化現象やから処置なしやと医者に言われて不自由してる人もぎょうさんいてはるのと違いますか?

漢方薬で見えやすくなる場合、ほんまにありますよ。
勉強会のお仲間の先生の症例ですが、物が歪んで見える網膜異常の変視症が漢方薬で治りました。

68歳(平成29年) 男性  現在無職

主訴:右目の網膜が引っ張られ、物が歪んで見える(黄斑上膜或いは変視症)

現病歴:平成27年、ボランティア活動でカンボジア在住中、帰国した際、夏ばてで当院に初めてこられた。そのときは清暑益気湯で改善し、カンボジアに戻った。
翌年平成28年の秋に、カンボジアのボランティアに終止符をうち、日本に帰国。10月27日に、疲れやすくなっていること、冬場の頻尿を訴えて来院。
12月2日に来院し、はじめて加齢黄斑変性症ではないが、網膜が中央部に引っ張られて物が歪んで見える変視症を訴えていたが、漢方薬で治るとは思っておられず、眼科での手術も考えていた。平成28年は2回来院。
平成29年には2~3ヵ月毎に5回来院。頻尿、疲れやすさも改善された。

平成29年4回目の来院 9月14日
問診:右目だけ物が歪んで見える(2年くらい前から) 疲れやすい

所見:舌診 裂紋 青紫 左脈軟(血虚 津虚)手陰戊癸

漢方薬:血府逐瘀湯 升麻葛根湯 香豉 ササヘルス1日20cc
               70日分服用

5回目の来院 12月29日
問診:疲れやすいのはまし。就寝9時半。10月末に目の検査を受け、歪みが減っていた。改善されているので、眼科医は不思議がっていたが、手術はしなくてよくなった。文字が読みやすくなった。

考察:加齢により網膜の中心部である黄斑に傷害が生じ、見えにくくなる病気は加齢黄斑変性症が有名ですが、人口の高齢化と食生活の欧米化により、近年著しく増加し。失明原因の第4位となっています。
この方の場合は、加齢により収縮する硝子体に網膜が引っ張られ、物が歪んで見えていましたが、進行すると網膜剥離を起こして失明に至ることもあり、手術での治療が必要とされています。漢方では、目は頭にあり、頭すなわち脳の疾患は腸の薬を使えと昔から言われています。漢方薬は腸を動かし、頭の血流を良くする漢方薬です。正常な赤血球は自由に形を変え、自分より細い毛細血管を流れることができますが、食事や生活習慣の影響で赤血球変形能は低下します。
ササヘルスは、赤血球変形能を改善し、毛細血管を通る血液の流動性を30%向上させることが、人間で確認されています。失われた毛細血管の壁細胞を集めて毛細血管を再生することが期待されます。(血流UPで毛細血管結果が再生するのは実証済み)
漢方薬、ササヘルスの効果とともに、この方の生活習慣と食事の改善(夜9時台就寝。悪玉菌を増やし動脈硬化の原因となる肉食、乳製品、冷たい物、砂糖をやめて野菜、大豆、魚中心の和食。)が大きく細胞の再生に寄与したことは否めないでしょう。

木賊(トクサ)の図画